サン・タポッリナーレ・ヌォヴォ聖堂 
Basilica di Sant'Apollinare Nuovo 1


ダンテの墓のすぐそばにあるサン・タポッリナーレ・ヌォヴォ聖堂は、490年頃に東ゴートのテオドリクス王によって建てられました。ラヴェンナの初代司教の聖アポッリナーレは、使徒ペテロに従ってローマに入りましたが、200年頃に殉教します。聖アポッリナーレの遺骨は当初、古代ローマの港クラッセ近くのサン・タポッリナーレ・イン・クラッセ聖堂に祀られますが、9世紀にこちらのヌォヴォ聖堂に移されました。

イタリアを征服したテオドリクスは、ラヴェンナを首都として産業を復興し、学芸を保護して善政を行いましたが、異端とされているアリウス派のキリスト教を擁護していたため、この聖堂も当初はアリウス派の聖堂として建てられました。しかし、東ローマ帝国のユスティニアヌスがラヴェンナを奪回し、561年にカトリックの聖堂として献堂されました。

教会内部は三廊式で、モザイクが描かれているのは中央の身廊部、両側の連続するアーチの上です。

この写真では切れてしまっていますが、モザイクは上下三層に分かれており、最上層では26枚のパネルがキリストの奇跡と受難を表しています。中央の区画には窓の高さに預言者と諸聖人が並んでいます。最下層では祭壇に向かって行進する人々の荘厳で華麗な姿が描かれています。
   

これは最下層の左側の区画の「聖女の行進」です。聖女たちが捧げ物を持って祭壇にいる聖母マリアを崇拝するために向かっています。

棕櫚の木の間を等間隔で進む聖女たちは、全員正面を向いていて一見すると個性がないようですが、よく見ると顔の表情も衣服の装飾も一人一人違います。

   

「東方の三博士(マギ)の行進」。聖女たちの行進の先頭には、マギたちが黄金、香、没薬を運んでいます。

少々ブレてしまいましたが、それぞれが色彩の異なるマントを羽織り、豪華な衣装を身に着けた三人のマギたちは、全体に動きの少ない人物群像の中でも躍動感があって、ひときわ秀逸に描かれています。

   

 

「サン・タポッリナーレ・ヌォヴォ聖堂・2」